活動方針と計画

2020年度活動方針


はじめに

1.取り巻く情勢

昨年10月12日に発生した台風19号に起因する大雨により、県内河川が氾濫し、特に千曲川水系においては越水により堤防の決壊が発生することにより、長野市を中心とした北信地域の千曲川流域に甚大なる被害を発生することとなりました。また、そのほかの地域においても住宅の損壊や床上・床下の浸水、収穫時期の田畑・果樹の被害も拡大しました。この災害では労働福祉運動の原点である「助け合い・支え合い」により多くの皆さんが、被災地・被災者に寄り添い、被災地の復興・復旧に向けて支援をして頂きました。改めて感謝するとともに、今後も復興・再生に向けて継続的かつ幅広い運動進めていかなければなりません。

そして、今私たちが直面している最大の課題は、新型コロナウイルス感染症への対応です。新型コロナウイルスの猛威が全世界を襲い、社会、経済のみならず我々の日々生活にも大きな脅威が続いています。今回の新型コロナウイルスによる全世界の経済的損失は2008年のリーマンショックを大きく上回るともいわれています。また、国際労働機関(ILO)は、コロナウイルスにより、約2,500万人が職を失う可能性があると予測しており、既に働く者の雇用や生活に大きな影響が出始めてきています。

今こそ労福協は、組織の枠を超え労働者の視点に立って、新型コロナウイルスを起因とする福祉と生活の脅威に対して結集を図り、行動を起こしていかなければなりません。そしてこの行動は私たちが目指すSDGs(持続可能な開発目標)そのものです。実際に今回、新型コロナウイルスという健康に関わる問題(ゴール3)は、これを機に働き方の多様化が進んでいくこと(ゴール8)、このような環境でもすべての子供たちが質の高い教育を受けられること(ゴール4)、その過程でITを活用したイノベーションが促進されること(ゴール9)、など他の課題とも絡み合いながら、そして、世界に広がる問題として各国が緊密に連携しあって(ゴール17)その解決が図られています。

SDGsの最も重要なメッセージの一つは、「誰一人取り残さない:Leave no one behind」。今回の新型コロナウイルス感染拡大への対応が、このSDGsの精神のもとで誰一人取り残されずに進められ、その先に、より持続可能な世界が訪れることを願いながら、そのために自分たちに何ができるかを、考えていかなければなりません。

まだまだ厳しい状況や不測の事態は続くと思われますが、我々も「One NAGANO」の一員としてそれぞれの立場で、この難局を乗り越え、そして持続可能な社会の再構築に向けて、地域で働き暮らす多くの人たちの支えとなる労働者福協運動が求められています。


2.2019年度の活動を振り返って

長野県労福協は、2019年度活動方針において、①社会連帯を深める運動と政策の実現②暮らしの総合支援(ライフサポート)の推進③協同事業、労働者福祉運動の基盤強化④長野県労福協設立60周年に向けての4つの柱を掲げ、中央労福協との連携、地区労福協との協同、県労福協活動の推進に取り組みました。具体的には中央労福協と連携した福祉強化月間を10月~11月に設定し、奨学金問題を重点にした取り組みを実施するとともに、台風19号の被災者に対してのセミナー等に取り組んできました。一方で2019年度の最重点課題としていた、地区労福協の在り方プロジェクト(地区労福協の活動指針と組織強化の検討)と財政・収益事業検討プロジェクト(公益支出計画の見直しと収益事業の検討)の2プロジェクトについては進展させることが出来ず、反省とお詫びを申し上げるところです。


3.2020年度活動の方向性

以上の認識を踏まえ、長野県労福協は、中央労福協の2030 年ビジョン①多様なセーフティネットで、働くことや暮らしの安心を支えます。②労働組合と協同組合が連携・協同し、共助の輪を広げ、すべての人の暮らしを生涯にわたってサポートします。③地域の様々なネットワークで、支え合い、助け合う地域共生社会をつくります。④労働者福祉運動を継承・持続するために、人材を育成し、財政基盤を確立し ます。を基に、安心して暮らせる社会と、誰もが排除されることがなく「居場所」や「拠り所」のある社会、「助け合い、支え合い」を理念とする「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」の活動を引き続き進めていきます。2020年度活動は、昨年度提起した4本の活動の柱のもと、今一度活動を見つめなおして、今後の労福協の在り方や人材・財政等について方向性を見出すべく、議論を深めていきます。

また、喫緊の課題として新型コロナウイルス感染症への対応が求められています。金銭的・精神的に追い詰められた立場の勤労者や生活者の支援はもちろん、県労福協及び地区労福協職員の安全の確保も必要です。中央労福協からの情報を基に、県や自治体の状況を加味し、県労福協、構成団体、地区労福協が一体となって、最大限の支援に努めていきます。


Ⅰ 活動の柱

県労福協の活動は、自主福祉運動としての暮らし総合支援事業(生活あんしんネットワーク事業)を中心に、社会的連帯を深める運動と政策の実現を目指すことにあります。労働者福祉運動や協同事業の更なる発展を目指して、以下の事業を柱に取組みます。



1 社会連帯を深める運動と政策の実現

労福協は地域に福祉のセーフティネットを張り巡らすことで、住民一人一人から、地域、職場、NPOボランティアなど市民団体がネットワークで繋がりながら、支え合い・助け合う温もりのある社会を作っていきます。そのためにも労働運動だけではカバーできない生活領域において、労働福祉運動と消費者・市民運動、NPOとの“サポート役”や“かすがい役”を地域で果たしていきます。

また、中央労福協並びに、東部ブロックとの連携を強め、「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」実現に向けて、2020全国福祉強化キャンペーンの取り組みを進めていきます。特に「生活困窮者自立支援事業」については、事業が適正な運用となるよう政策提言などに協同で取り組みます。


2 暮らしの総合支援(ライフサポート)の推進

勤労者をはじめ、その家族及び地域に暮らすすべての人々の拠り所として労福協(ライフサポートセンター)が頼られ、地域に根付いていくために、〝生活あんしんネットワーク事業〟=暮らしなんでも相談、就労・自立支援、貧困・多重債務者支援、子育て・介護支援、老後の生き甲斐支援など、地域で役立つ、目に見える具体的な活動を、地域を中心に運動を展開します。また、地域で暮らす人々の生活向上のために、啓発活動として地区労福協、労働団体及び福祉事業団体と連携を図りながら、各種セミナー・講演会を実施していきます。


生活あんしんネットワーク7事業


①くらしなんでも相談事業

「相談したいけど、人になかなか話せない、聞けない」というような日常生活でのお悩みをなんでも無料でご相談いただける「くらし相談ほっとダイヤル」を設けています。サラ金、多重債務、架空請求、年金問題、親権、相続問題など幅広い問題にお応えしています。


お金・保障・衣食住暮らしのお手伝い

労福協の福祉事業団体「ろうきん」「こくみん共済coop<全労済>」「住宅生協」「生協」は暮らしのすべてをサポートしています。協同組合事業では利益は組合員へ還元されます。そして仲間の助け合いや地域のために使われます。


③すべての勤労者をサポート

ろうきん・こくみん共済coop<全労済>・生協・NPOなどと提携し地域に福祉のネットワークを広げ、中小企業・労働組合・未組織勤労者・離職者などの支援、生涯生活をサポートしています。生涯生活サポートの一環として、職場に労働組合が無い勤労者の方も「ろうきん」との融資やお取引ができる会員組織として「長野県暮らしサポートセンター」を設立しました。


④就職へのサポート(ジョブながのライフサポートセンター)

ジョブながのライフサポートセンター(無料職業紹介所)の開設による、求職者と企業のマッチングなど、失業や離職者の各種支援活動を行っています。失業が長引く求職者のメンタルサポートの必要性が増している中、カウンセリング(適正診断)、メンタルサポートといった求職者に対するトータルサポートの対応も行っています。一方で企業に対しては、企業への求人開拓・人材情報の提供を行っています。


⑤生涯生活サポート事業

生涯生活サポート研修会をはじめ、高齢化が一層進む日本で、退職者の方や高齢者の方がいきいきと生活するための体育活動、娯楽活動、学習活動などの各種サポートを行っています。また、地域社会の支え合いを広げるため、シニア世代の人材としての重要性や地域貢献の観点から、地域社会の支え合いを広げるために、シニア世代の社会参加を促進する事業を進めています。1人暮らしの高齢者、高齢者世帯、障害者、子育て中の世代などに対する生活支援を行います。


⑥NPO・ボランティアとの連携

「地域の活性化」「あんしん街づくり機能」のために、長野県NPOセンターと連携しながら「生活あんしんネットワーク事業」運動に取り組んでいます。県内のNPOは保健・医療・福祉・社会教育・消費者保護など、その事業は多岐に渡っています。地域のNPO・ボランティアと共通の課題に対して、情報交換しながら、連携・協力し、地域の活性化、あんしん街づくりに寄与しています。


⑦子育て・介護をサポート

仕事と育児・介護の両立や子育て・介護そのものについて、あなたが抱えているお悩みにお応えいたします。


3 協同事業、労働者福祉運動の基盤強化

県内における職域と地域の自主福祉運動の充実・発展のために、労働団体および福祉事業団体との連携を強化し、労働者福祉運動に対する社会的な役割を果たします。

①組織労働者も未組織勤労者も、安心して働ける職場環境の整備、ワークルール教育の浸透、若者の雇用を創出し、労働団体と一緒に元気な職場を創設。

②県労福協の構成団体(労働団体・事業団体)の発展や、構成組織実務者会議による県労福協活動の推進と地区労福協への展開。

③未来を担う若者を社会全体で支え、持続可能な社会にするため、奨学金制度の改善と教育費負担の軽減に向けた活動を強化。

④勤労者の暮らしにかかるサポート事業における残課題である「財政基盤」や「人材育成・人材確保」については、課題解消に向け必要な協議を行いながらその具体化への対応。


4 長野県労福協設立60周年について

長野労福協は、1960年11月30日に設立され、2020年には設立60周年を迎えます。更に遡ると、労福協の前身である県福対協の結成が1951年2月8日であり、2021年に70周年を迎えることとなります。周年行事実行委員会で具体的な記念事業の準備、実施を行います。


Ⅱ 具体的な取り組み


Ⅰ.社会的連帯を深める運動と政策の実現

1 貧困や多重債務のない持続可能な社会に向けて

(1)奨学金制度改善・教育費負担軽減の取り組み


県労福協として、中央労福協の活動と同期しながら取り組みの強化を図っていきます。これまでの運動で培った様々な団体との連携を深めていきます。特に2年連続で実施した奨学金問題一斉相談会の課題を整理し、2020年度の相談会実施に向けた準備をしていきます。また、中央労福協が主催する奨学金相談員養成研修会に参加して行きます。


(2)生活困窮者自立支援制度の拡充と社会的包摂の推進

①生活困窮者自立支援制度の定着・発展を推進するため、地区労福協と各自治体のマイサポやNPOとの連携を強化し、第2のセーフティネットとして実効あるものとなるよう取り組みます。


②生活困窮者自立支援と貧困をなくす運動を、車の両輪として捉え、県政要求の中で、労働行政に対して、生活困窮者自立支援事業との連携を強化し、労働法違反行為等の摘発・是正指導やブラック企業対策を強化するよう働きかけていきます。


(3)多重債務対策の強化

① 全国的には個人自己破産申立件数は依然として増加しており、ヤミ金被害についても増加傾向が見受けられます。また、インターネット上のショッピングやゲーム、ギャンブルなどへの依存症から多重債務に陥るケースも後を絶ちません。
さらには、キャッシュレス化が進む中で、クレジット決済の過剰与信規制の緩和に向けた動きも検討されています。引き続き労金や関係団体と連携し多重債務問題解決に向けた取り組みを進めていきます。


② 改正貸金業法の定める総量規制の対象外である銀行カードローンに起因する過剰融資については、各金融機関で貸付自粛に向けた自助努力が進んでいるものの、引き続き動向を注視し、労金や関係団体などとも連携した啓発活動を行います。必要に応じて、貸金業者が保証するカードローンを規制対象とするなどの法改正も含め中央労福協と連携し対応をはかります。


(4)自死(自殺)対策

国内全体の自死(自殺)者数は大きく減少しているにも関わらず、10代の自死(自殺)者数は増加傾向にあり、死因の第1位が自死(自殺)という世界に類を見ない状況となっています。若年層の自死(自殺)防止に向け、自治体における自死(自殺)対策の取り組み強化を県政要求に繋げていきます。


(5)介護離職のない社会をめざして

① 要介護者および認知症高齢者の増加に伴って介護サービスの需要も増えていますが、介護従事者の離職、人手不足は深刻な問題になっています。背景には重労働であること、高度なケア技術が必要であること、賃金・処遇が低いこと、従事者に対するハラスメントが多いことなどがあげられています。研修・教育訓練の充実、処遇改善、ハラスメントを防止する職場環境の改善が喫緊の課題であり、改善に向け政策・制度要求を行っていきます。

② 親の介護を理由に退職する労働者が増加しています。介護休業制度の取得促進、介護保険制度の活用、企業や地域における相談窓口の設置など、介護離職を防止する対策の強化など、政策・制度要求を行っていきます。


2 消費者運動との連携の促進

(1)消費者被害の防止・救済の取り組み

① オンラインプラットフォーム(インターネット上の取引の基盤環境またはそれを提供する事業者)を介した取引が急速に拡大しています。消費者が容易に取引に参加することが可能である一方、個人情報の流出など様々な消費者被害が増加しています。消費者が安心して取引を利用することができるよう、消費者被害の防止・救済に向けて、法規制等の施策を中央労福協と連携して取り組みます。

② 企業や行政の不正をなくすため、公益通報者を企業・行政側から徹底して守る公益通報者保護法の速やかかつ抜本的な改正を求めます。


(2)消費者教育、エシカル消費の促進

① キャッシュレス化の進展に伴うクレジット決済の過剰与信規制の緩和に向けた動きを注視するとともに、多重債務の一因となるネットショッピングやオンラインゲーム、ギャンブルなどへの依存症を防止するため、関係団体等と連携して啓発活動を継続します。

② 一部の消費者による過剰な要求、暴言・暴力等の問題について、公共の利益および消費者・労働者双方の権利を守る観点から、消費者と事業者の良好かつ健全なコミュニケーションを促進するよう、関係団体等と連携して普及・啓発を進めていきます。


③ 消費者が全国どこに住んでいても質の高い相談が受けられる体制を確立するため、消費生活相談員の雇い止め問題の解消と確実な処遇改善を求めます。


3 SDGs(持続可能な開発目標)の取り組み

地球温暖化による気候変動やプラスチックごみによる海洋汚染、開発を理由とした森林伐採など、地球環境の持続可能性が危ぶまれています。


引き続き持続可能な循環型社会の構築をめざし、2019年10月に連合・中央労福協・労金協会・こくみん共済coopが設置した「環境・社会フォーラム」等、中央労福協を通じて、シンポジュウムへの参加や啓発活動等に積極的に取り組みにます。また、福祉事業団体と連携してSDGsの啓発・教育に関わる取り組みを深めていきます。


4 大規模災害からの復興・再生と防災・減災の取り組み

(1)台風19号災害からの復興・再生への取り組み

① 2019年10月の台風19号により、東北信を中心に県内各地で発生した大規模災害により、復興住宅や仮設住宅での生活を余儀なくされている人たちも未だ多くいます。また、人手不足による復旧作業の遅れ、高齢者の孤立死や心のケアの問題など、多くの課題が残されていることから、引き続き県政要請を通じて、県への働きかけを行います。

②被災した各市町村においては、災害による被災経験や復興復旧の取り組みから多くの教訓を得られてはいるものの、十分な対策がはかられているとはいえず、地域住民の不安は一向に解消されていません。いざという時の備えや災害に強い住宅づくりなど生活防衛の視点ならびに災害リスクを最小限に止める対応等の啓発活動を進めていきます。

③南海トラフ地震や首都直下型地震が予測されていること、地球温暖化の影響等による台風の大型化や集中豪雨や突風等の自然災害による被害が全国各地で頻発していることを踏まえ、大規模災害リスクへの対処に関する自治体要請を強めます。

④2021年3月には、東日本大震災から10年を迎えることから、東日本大震災、長野県北部地震などの震災の記憶を風化させず、引き続き復興・再生への取り組みに協力していくとともに、国民的保障制度として制定した「被災者生活再建支援制度」をはじめ、各地方自治体における支援制度の見直しや拡充に向けた対応について関係団体と連携し進めていきます。


(2)大規模災害に対する防災・減災対策の強化

① 地域における防災・減災の啓発、意識喚起を目的に、関係団体主催のシンポジュウムに積極的に参加するなど情報収集に努めます。さらには、加盟団体会議等において、被災地域における防災・減災活動や復興・復旧対応等の事例共有を図ります。

②地球温暖化の影響等による台風の大型化や集中豪雨や突風等の自然災害による被害が各地で頻発していることを踏まえ、こくみん共済coop<全労済>・生協連とともに、自治体や事業団体・協同組合と連携し、大規模災害のリスクに対処できるよう啓発活動等の取り組みを進めます。


5 食品ロスの低減とフードバンク活動や子ども食堂の普及・促進

①地域において、フードバンク活動が広がっています。地域でのフードバンクの取り組みが推進できるよう、地区労福協をサポートしていくとともに引き続きフードバンクの啓発活動や政策・制度の改善等に取り組みます。
②フードバンク信州の継続的かつ安定した事業運営を支えるために会員(団体賛助会員)拡大は喫緊の課題となっており、会員拡大に向けて県労福協としても労働団体を中心に加入促進の取り組みに努めます。

③子ども食堂に関する地域での取り組みや関心も広がっており、各関係団体の取り組み事例等を情報収集しながら、今後の活動について検討していきます。

④自らのライフスタイルを見直し食品ロスを削減するため、フードバンク活動を積極的に推進していくとともに、「食べ残しを減らす運動」「30・10(さんまるいちまる)運動」の拡大を目指して、県労福協製作の30・10運動コースターの普及にも努めます。


6食品の安全、食料・農業問題への対応

食の安全は生産から消費、更に廃棄まで食に関わるフードチェーン全体で担保していく必要があります。必要な法制度の整備はもちろん、事業者との連携や消費者の学習などを意識的に進めていく必要があります。生協連や消費者団体と連携し、食品の安全の確保や表示に関する政策・制度改善に取り組むとともに、食品の安全や食料・農業問題に関する学習、食育を通じた食生活の改善、地産地消の推進などに協力していきます。


7 水道の安全・安心の確保に向けて 

2019年10月に改正水道法が施行されたことに伴い、地方公共団体が担ってきた水道事業の運営を民間に売却する(コンセッション方式)ことが可能になります。水道事業を民営化するにあたっては慎重に対応するよう県・自治体に働きかけていきます。


Ⅱ.暮らしの総合支援(ライフサポート)の推進

1 暮らしの総合支援事業の体制づくりと着実な推進

“生活あんしんネットワーク事業7つの具体的な事業を”地域での展開に向けて、各地区労福協に要請をしました。各地区労福協の活動を通して、勤労者はじめその家族、すべての市民のよりどころとなるイフサポートセンターとなることを目指し、地区労福協と連携した活動を推進していきます。


(1)暮らしなんでも相談事業

“労福協くらしなんでも相談ほっとダイヤル”の平日相談には勤労者のみならず、多くの一般県民の方にも利用され、相談ごとの窓口としての理解が広がってきています。市民のより身近な場所での相談対応を目指し、未実施地区解消に向けての検討に努めていきます。また、第二土曜日の専門家による相談ダイヤルも各地区地元紙への宣伝を強化し、利用者拡大を図るとともに、ネット社会への対応として、労福協HPの充実を図ります。法律・税務相談事業を県下の顧問弁護士と顧問税理士による、面談での相談(初回1時間無料)を引続き実施します。また、地区労福協の主催で県労福協顧問弁護士団による法律セミナーの開催をサポートしていきます。


(2)NPO・ボランティアと連携した「あんしん街づくり機能」

労働者福祉運動に取り組むため、地域のNPO・ボランティアと“共通するミッション”に対して積極的に連携・協力し、地域の活性化、あんしん街づくりに寄与していきます。そのため、地域のNPO・ボランティア団体と日頃から情報交換や交流を図り、連携しながら「安心して生活できる街づくり」を支援していきます。


(3)金融・共済・住宅事業の地域展開支援

福祉事業団体の地域での事業拡大のため、組織労働者だけでなく、未組織勤労者及び市民に対する福祉事業団体の有利性を積極的にPRしていきます。具体的には、勤労者の生活防衛・生活改善を図るため、以下の内容について、地区労福協と連携しながら、「気づき」を与える取組みをおこなっていきます。

①各地区のお金の相談などのセミナーの実施

②高校・大学生や市町村等への賢い消費者に向けたセミナーの実施

③自然災害への防災・減災を中心とした福祉事業団体活用セミナーの実施。


(4)未組織勤労者との連携の強化


【資料】ながの労働白書、県労働雇用課勤労者互助会・共済会概要より

組織労働者が全体の20%を下回る今、県内の未組織勤労者100万人に対する支援、サポートに引き続き取り組みます。中小・零細企業、非正規や多様な雇用形態で働く人たち、さらには外国人労働者など共助の輪に参加できていない人たちへの福祉事業の利用を広げるための受け皿や制度開発などについて、関係団体と連携し検討を進めます。

具体的には、会員数11万人を超える暮らしサポートセンターとの連携強化に努め、“くらしなんでも相談” “法律・税務相談” “気づきを与える取り組み” “福祉事業団体の利用”など支援メニューの利用促進を進め、事業福祉団体並びに労働団体と連携し、各地区の勤労者互助会・共済会をはじめとした、未組織勤労者・一般市民へのサポートに取り組んでいきます。「税務セミナー」「年金セミナー」への講師派遣について、県労福協が引き続き実施していきます(県労福協が委嘱した税理士・社会保険労務士の講師料を負担)。また、県下全市町村が属している長野県市町村勤労者互助会・共済会との連携を深めるため、会議等を通じて情報交換に努めるとともに、長野県市町村勤労者互助会・共済会と地区労福協の連携をサポートしていきます。


(5)失業・離職者支援

これまで求職者の支援について県労福協はを中心に支援してきました。平成27年4月に生活困窮者自立支援法の制定により、長野県では「生活就労支援センター"まいさぽ"」において、自立相談支援及び就労準備支援等を実施しています。当初は、支援体制が未熟であったため、地区によっては「ジョブ無料職業紹介所」の必要性が高く、就職支援の中心を担ってきましたが、現況では「まいさぽ」との連携する部分が多くなり、「ジョブ無料職業紹介所」事業の必然性が薄れてきています。このため、今後県労福協の事業として継続性を見直す時期にあります。今後の求職者に対するキャリア支援などトータルサポートへの対応に向けて自治体やNPOとの連携強化と併せて、「ジョブ無料職業紹介所」の事業方向性について検討を進めていきます。


(6)退職者と事業団体との連携・支援

高齢化の進展に伴い、元気なシニアの多様で多彩な能力や技能を地域社会に活かしていくための環境の整備やシステムづくりが必要です。また、高齢者の生活困窮者が急増するなかで、地域での寄り添い・支え合いが求められています。退職者連合やろうきん虹の会などと連携し、生涯生活サポート研修会の開催や、高齢者がいきいきと生活するための健康増進、娯楽活動、学習活動など各種サポートを行っていきます。


(7)福祉事業との連携(育児・介護等)

地域における介護・子育て支援サービスへの高まりに対して、生協、NPO等これまでの連携団体との協力をさらに広げ、地域のネットワークにより福祉事業団体や福祉行政機関等の連携の“かすがい役”となり活動を目指します。



Ⅲ.協同事業、労働者福祉運動の基盤強化

1 組織強化の取組み

(1)地区労福協の活動に向けて

①基本的には、「地区労福協活動指針」に沿って事業を計画、実施していきます。具体的な事業については、各地区独自の活動のほか、生活あんしんネットワーク事業に係る事業を重点に実施し、財政については「公益目的支出計画」に基づいた各地区労福協が従前の活動を超え、広く県民全体に波及効果のある活動に対して交付していきます。

②労福協運動を推進・拡大するうえでは、その原動力である各地区労福協運動の活性化は欠かせません。県労福協と地区労福協及び、各地区労福協間の情報や課題の共有化が図られるよう、地区労福協連絡会議については、年3回実施し、開催ごとにテーマを決め、意見交換を通して、課題解決につながる会議に努めます。


(2)構成組織実務者会議の継続

2012年の国際協同組合年を契機に、構成組織実務者会議を立ち上げ、県労福協が実施する各種活動の企画・運営の中核的役割を担っていただいています。今年度も構成組織実務者会議を月1回程度開催し、活動の活性化を図っていきます。また、構成組織実務者会議を通して確立した取り組みについては、各地区労福協に展開して行くよう検討していきます。


(3)県労福協と地区労福協の組織・財政面の在り方について

今後の県労福協並びに地区労福協の活動に向けて、地区労福協の在り方プロジェクトと財政・収益事業検討プロジェクト(公益支出計画の見直しと収益事業の検討)の2プロジェクトの開催が出来ず、反省の残るところです。中央労福協の2030ビジョンの内容やこれまでの様々な会議で出された意見を踏まて、プロジェクトの仕切り直しを図り、今後の活動の指針となる次期ビジョン策定や県と地区労福協の在り方と財政について対応を具現化していきます。


2 協同事業団体の利用促進の取り組み

3)県・地区労福協は、自らの活動が事業団体の利用促進や支援につながっているかどうか自己点検を行い、信頼を確かなものにするよう努めます。こうした信頼関係のもと、地区労福協が安定した活動が継続できるよう、加盟団体に引き続き理解を求めていきます。


3 労働者福祉運動を担う人材の育成・教育活動

社会情勢が大きく変わった今日、労働運動、労働福祉運動に求められるものも多様化しています。これからの労働運動、労働福祉運動をどのように展開していくべきか、これからの時代を担う若いリーダーを養成と女性の参加促進を目指し、中央労福協、労福協東部ブロック主催の研修会参加の要請や、県労福協主催の教育を検討・実施していきます。


(1)次世代リーダーの育成

①労金労組、全労済労組と共催で「労働者福祉運動の理念・歴史・リーダー養成講座」を主としたヤングリーダー塾の開催に努めます。

②労福協東部ブロック第13期福祉リーダー塾への参加を構成団体に要請していきます。これまでは福祉事業団体からの参加のみであったことから、労働団体に積極的参加を促していきます。

③労働者自主福祉運動の理解を広げるために、中央労福協作成の学習資材「労働者福祉運動の“これまで”と“これから”」を活用し、構成団体における各種研修会で活用できる教育資料の作成を検討しいてきます。


(2)労働者自主福祉運動への女性の参画促進

更なるネットワークの拡大を目的に、中央労福協で実施する「シンポジュウム女性ひろば」に女性役員を参加頂くよう、加盟団体に要請していきます。


4 組織活動・運営、研修・広報・教宣

(1)各種会議の開催

①理事会は年に6回以上開催します。

②三役会は1ヶ月に1回程度開催します。

③加盟団体合同研修会を年1回開催します。県労福協加盟団体のトップセミナーと位置付け、東部ブロック各都県の活動事例の紹介を受けるとともに、加盟団体相互の情報交換と意疎通をはかるほか、それぞれの課題に応じたテーマでの討議をしながら、機能的で充実した運営をめざします。

④地区労福協連絡会議を年3回開催します。各開催については事前にテーマ設定し、地区労福協の取り組み事例や情報・意見交換、研修等を実施していきます。



(2)福祉強化キャンペーン

労福協全体で取り組むべき社会運動課題や自主福祉活動の強化に向けて、中央労福協が全国の労福協に提起する「2020全国福祉強化キャンペーン」に県労福協も取り組みます。最大限効果が発揮できる取り組みとなるよう、中央労福協の指示に沿って活動を行うとともに、県労福協独自で、セミナーや研修会も開催していきます。


(3)研修活動の充実

①働く者の「みらい・あんしん」学校の開催

2016年度より労働者福祉学校という名称を〝はたらく人の「みらい・あんしん」学校”と親しみやすい名称に変え、従来の動員型から参加型を目指し、開催してきました。この4年間の実施内容の検証を踏まえ、課題点の改善を図りながら今年度も実施していきます。

②労働金庫・こくみん共済coop<全労済>新任運営委員合同研修会の開催

事業団体の利用促進につながる活動の一環として、労働者自主福祉運動が労働運動と生活協同組合運動を母体として生まれてきた歴史、社会的役割の理解を深めるとともに、運営委員会の活性化を図るため、労働金庫・こくみん共済coop<全労済>新任運営委員合同研修会を開催します。また、更なる各運営委員会の活性化を図れるよう地域別の研修会を検討していきます。


(4)長野県勤労者体育大会の中止

2020年度も従来からの考え基づき、テニス(男女)、バレーボール(男)、バドミントン(男女)、野球、ソフトバレーボール(混成)の5種目の県大会を開催する予定で計画をしていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大予防対応として地区予選会の開催が困難なため、県大会を中止とします。


(5)県政要求について

勤労者福祉政策をはじめ、県民の安心・安全の生活を守るため、構成団体はじめ各団体から寄せられた要求を、県労福協として政策委員会を設置し、県に要請していきます。特に2021年度予算編成に向けて、生活困窮者に対する支援施策、雇用情勢改善に対する施策、「新しい公共」を地域・県民が推進する施策・体制など具体的な要請を直接知事及び担当部署に提出・直接交渉を行います。


(6)広報活動の取り組みについて

①機関紙「ながの労福協」の発行

県労福協の機関紙「ながの労福協」を年6回発行して行きます。福祉事業団体のお知らせ、生活あんしんネットワーク事業の「くらしなんでも相談」の事例などの掲載や、労福協活動への理解やトラブル回避のための情報提供を行います。また、より多くの方に読んで頂く様リニューアルした紙面の更なる改善に努めていきます。

②ホームページのリニューアル化

迅速かつビジュアル的な情報伝達の充実に向け、ホームページの改善に努めます。具体的には、スマートフォンやタブレットに対応できるホームページになるよう、また、多くの方にアクセスして頂けるようリニューアルを図ります。

③県労福協「統一ダイアリー」の発行

県労福協の統一した「ダイアリー」を例年のとおり発行します。リニューアルをした2020年度を基に、改善に向けて合同編集会議の中で検討していきます。


5 労働者福祉会館の建設

官民協同による労働者福祉会館建設に向けて、長野県との協議を開始していきます。


Ⅳ.長野県労福協設立60周年に向けて

長野県労福協は2020年には設立60周年を迎えます。更に労福協の前身である県福対協は2021年に70周年を迎えることとなります。2021年1月の新春交歓会に合わせて県福対協結成70周年、県労福協設立60周年記念祝賀会を実施することが確認されました。具体的な周年事業については、検討委員会で進めていきます。