不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効
相談内容今年(2020年)の3月1日に交通事故の被害にあって怪我をしてしまいました。
加害者に対する損害賠償請求はいつまでにしないといけないのでしょうか。
解答故意や過失によって他人の権利を侵害することを不法行為といい、加害者は不法行為で被害に与えた損害を
賠償する義務を負います(民法709条)。交通事故は、不法行為の代表例の1つと言えます。
不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年、不法行為があった時から
20年のどちらか早い方が経過すると、時効により消滅します(民法724条)。
ただし、不法行為で人の生命・身体が被害を受けた場合の期間制限について、改正後の民法で特例が設けられ、
被害者が損害及び加害者を知った時から5年で時効により消滅することとされました(民法724条の2)。
また、2020年3月31日以前の事故であっても、2020年4月1日までに消滅時効の期間が経過して
いない場合には、改正後の民法が適用されることとなりました(改正附則35条)。
ご質問のケースは、身体が被害を受けた場合に該当し、消滅時効の期間が経過する前に2020年4月1日を
迎えているので、損害及び加害者を知ってから5年が経過する前に損害賠償請求をする必要があります。
なお、加害者が特定できない場合でも、事故から20年が経過すると損害賠償請求ができなくなってしまいます
のでご注意ください。
※回答者
弁護士 田中良平 (2020.7)