家関連①
相談内容父親名義の自宅について、同居するため、子供の私が借り入れし、リフォームすることになりました。
登記に私の名義を入れないといけないと聞きましたがどういうことでしょうか?
解答不動産について、民法では、「不動産の所有者は、当該不動産に従として付合した物の所有権を取得する
(242条本文)」とあります。つまり父親が所有している建物について、第三者が増改築した場合に、
その増改築部分の所有権は建物の所有者である父親に原則、帰属することになります。
子供の負担(資金提供)により、父親所有の建物が資産価値向上(グレードアップ)するため、
父親には自らの負担なく財産価値があがったことにより贈与税が課税されます。
税金は、利益を得た・得をした人に課税されるようになっています。
この贈与税が課税されないようにするためには、増改築された建物について、資金を支出した子供の名義を
入れる必要があります。父親は、子供に対し、自らの建物の財産的価値を上げてくれたことにより、
その価値分の金銭を子供に渡す義務が生じます。ただ、現実として、その金銭を子供に渡すことは皆無であり、
代わりに建物の所有権を子供に渡す、いわゆる代物弁済により子供へ償還することになります。
ですので、建物の所有権につき、代物弁済を原因として所有権一部移転登記を父親から子供へ行うことが
必要になります。ここで注意なのが、建物の価格です。子供が支出する金額は増改築の請負契約書より
明らかなため問題なりませんが、父親が元々有していた建物の価値をどうするかが問題になります。
基本的に、前述の代物弁済は所得税の譲渡所得にあたるため、父親が元々有していた建物について、
建物を新築した当時の金額から減価償却をし、簿価を計算する必要があります。市町村で決めている
固定資産評価額はあくまでも市町村が決める価格なため、この評価額を採用するのは適当ではありません。
新築時の建築価格がわからないと、増改築後の建物価格(簿価+子供が支出した価格)がわからないため、
譲渡所得税の課税リスクが生じます。
※回答者司法書士 松本陽(2020.1)