寄与分と特別寄与料制度について①
相談内容
私の父は母に先立たれ1人で生活していましたが、80歳のときに認知症が進んだことから
次男である私が引き取り、勤めも辞めて入退院の際の付き添いや日常の世話をしてきました。
5年ほど介護を続けた後に父は死亡しました。
すると父の介護に全く関与しなかった兄が2分の1の相続を主張してきました。
苦労して無償で父の世話をしてきた私と何もしなかった兄とは平等に父の遺産を分けなければ
いけないのでしょうか。
解答
昭和56年に施行された改正民法において、以前から実務で配慮されるようになっていた被相続人の
財産の維持増加への貢献につき新たに寄与分の制度が設けられました。
共同相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付、被相続人の療養看護等に
より被相続人の財産の維持増加について特別の寄与をした者がいるときは、その寄与分を加えた額を
相続分として取得することを認めるものです。
寄与分は遺産の維持増加に大きな貢献をしても相続人でなければ認められず、また「特別の寄与」が
必要とされているので、配偶者間の療養看護等、その身分関係から通常期待される程度の貢献では
認められません。
※回答者弁護士 佐藤 豊(2020.9)