父子関係について②
相談内容私は妻子ある身ですが妻以外の女性と関係を持ってしまい、その女性が私の子を妊娠してしまいました。
相手の女性はどうしてもその子を産むと言い張っています。家庭がある私としては、相当額を相手の女性に
支払って認知請求はしないとの約束をさせようと思っていますが、法的にそれで心配ないでしょうか。
解答関係を持った女性が自分の子を妊娠してしまった場合、妻に内緒で認知の請求はしないとの約束を取り付け、
いわゆる示談で解決してしまおうと考えるのはあり得ないことではありません。他の女性との間に子を
もうけたことが明らかになれば、夫婦間において不貞行為として離婚にも発展しかねず、養育費等の経済的
負担のほか子に相続権も認められる等、家庭内において将来にわたっての大問題を抱えることになります。
このような事態を未然に防止するために、かなりの経済的負担も覚悟で認知の請求はしないとの確約を
得ようとするのです。
しかしここで問題になるのは、父親に対し認知請求はしなという約束をした場合その約束は有効か、言い
換えれば認知請求権は放棄できるかという点です。
裁判所の考え方では、認知請求権は父子という関係にかかわる身分的権利であることから任意に放棄等の
処分は許されないとされています。認知請求はしないとの約束をして示談金を支払っても、この約束を
理由として認知請求を排斥することはできないということです。
※回答者
弁護士 佐藤 豊(2019.11)