相続放棄について②
相談内容
2年前に父が死亡し、遺産である不動産等は全て兄が相続しました。相続人は兄と私の2人だけ
でしたが私は経済的にも恵まれていたことから遺産は何も相続しませんでした。
ところがこの度、父が死亡前に友人の多額な借入につき保証人になっていたことが判明しました。
父は経済的に余裕があり借入等はありませんでしたし、友人の保証人になっているとの話も聞いた
ことも、保証人として請求を受けたこともありません。
何も財産を相続しなかった私は、このような多額な債務だけは払わなければいけないのでしょうか。
解答
遺産を分ける際に相続人の一部の人が何も取得しないことを、俗に「相続放棄」と表現することがあり
ますが、法律上の相続放棄は家庭裁判所で手続をしたものを指します。両者の違いは債務の相続の有無に
あり、家庭裁判所で手続をした相続放棄の効果としては、そもそも相続人にならないので債務の相続も
ありません。
ところで設問の相談者がこれから相続放棄の手続を取ろうとしたとき、父親の死亡を知った時から3か月
の期間を経過していることから全く認められないのでしょうか。
相談者は現実には遺産を取得しておらず、父が多額の保証債務を負担しているということは全く知りませ
んでした。このように予想外の多額の債務が後になって判明した場合、その事実を知った時から3か月以
内であれば相続放棄を可能とした裁判所の判断もいくつかありますので、あきらめず早急に弁護士等に相
談してみるべきでしょう。
※回答者
弁護士 佐藤 豊(2018.11)