賃金低下と社会保険料の変更について
相談内容新型コロナウィルス感染症の影響で、今年の4月から賃金が大幅に下がったのですが、控除される
社会保険料が変わらなかったため、差し引き手取額が減ってしまっています。
何とか保険料が安くなる方法はなかったのでしょうか。
解答新型コロナウィルス感染症の影響で賃金が低下した場合「特例改定」で
社会保険料減額が可能です
社会保険料は、基本給や手当などの固定的な賃金の変動により、引き続く3ケ月間の賃金平均額が
従前標準報酬と2等級以上の差があるとき「月額変更届」を提出することにより改定できます。
(3ケ月すべての基礎日数が17日以上あることが必要です)
通常、4月に固定的な賃金の変動があり2等級以上下がった場合は3ケ月後の7月が改定月となり、
翌8月の給与から控除される社会保険料から下がります。
しかし、本年は特例として、新型コロナウィルス感染症による賃金低下の場合は、前述と異なり
固定的な賃金の変動がなくても特例改定の対象となります。
改定月は7月ではなく変動のあった4月の翌月5月となるため、社会保険料は通常より2ケ月早く
6月支給給与分から下がります。
適用期間については、5月または6月に特例改定された標準報酬は本年8月まで適用となり、
9月からは、すでに提出済みの算定基礎届により定時決定された標準報酬が適用されます。
7月または8月に特例改定した場合は、算定基礎届による定時決定は行われず、9月以降も
そのまま特例改定の標準報酬が適用されます。
なお、特例改定により保険料負担は軽減されますが、一方で、傷病手当金、出産手当金、
将来の年金額は減額になるため、特例改定届出の際には被保険者の同意が必要です。
特例改定は、令和2年5月から令和3年1月までの改定月が対象です。まだ未処理の場合は
今から遡及して届出することもできますが、改定月により二つの提出期限がありますので
注意してください。
改定月が5月から8月については令和3年1月31日、9月から1月については3月1日が提出期限です。
※回答者
特定社会保険労務士 山口正人(2021.1)