家族の多重債務について
相談内容家族がいくつもの消費者金融や銀行カードローンを利用して多重債務になってしまいました。
返済は延滞になる前に私が立て替えて支払いましたが、これから本人が借金をしないように
する方法はありますか?
まず大事なのは、本人の代わりに家族が支払う場合も、本当に本人のためになるかを考えてからに
すべきです。本人の代わりに返済することにより、本人は「お金を借りて返せなくなっても何とか
なる」という意識が生まれます。これは決して根本的な解決にはなりません。
基本的に返済が遅滞すると、信用情報登録機関(CICやJICC等)という会社で延滞情報が記載され
ます。この信用情報登録機関は、クレジットカードの利用契約をする場合や、新たな借り入れをす
る場合に、債務者がきちんと返済ができるのかどうか債権者側が調査をするための機関です。前述
の返済が遅滞した場合に延滞情報が記載されると、一定の期間は新規での借り入れ等ができなくな
ります。ですので、延滞状態となり、信用情報登録機関に延滞情報(事故情報ともいいます)が登
録されたほうが、本人の新規の借り入れを抑制することにもなります。
次に貸付自粛制度というものがあります。全国銀行協会や日本貸金業協会で設けている制度で、原
則として本人が申し出ることによって、今後の貸付を自粛することを信用情報登録機関等に登録し
てもらいます。
本人を説得することは容易なことではないと思いますが、本人が多重債務に至るには様々な理由が
考えられます。根本的な解決は、返済をすることだけではなく、生活を再建することです。それに
は就業支援なども必要となります。専門家に相談し、支援機関などの援助も受けた方がよいでしょ
う。
司法書士 松本陽(2021.11)