くらしなんでも相談Q&A

再婚した妻に生前贈与したい

相談内容

息子の債務保証をしている。息子の嫁は金銭感覚がルーズなため、先々のことが心配だ。
家を差押えられたら困るので、5年前に再婚した自分の妻に、家屋敷の名義を変更したい。どのようにするのが良いか。

解答

婚姻期間が20年以上あれば2000万円の配偶者控除の特例を使って贈与も可能だが、5年であるので適用はできない。
当面、妻への贈与予約による仮登記で権利保全を図ると言うことではどうか。

※ワンポイント

【贈与予約の仮登記】

○贈与予約と仮登記
贈与予約とは、所有者が不動産をある人に将来贈与することを約束することをいう(この場合は、物権の変動はないので、贈与税の問題は発生しない)。
この結果、将来の贈与を約束された人には、所有権移転登記請求権という権利が発生し、この請求権を保全するために仮登記を行うことが認められる。
仮登記には、本登記の効力はないが、登記の順位を確保するという効果が生まれる。
事例②の例でいうと、所有者が息子の保証人として債務の履行を求められ、所有不動産が差押えられるとした場合、妻名義の仮登記が行われていれば、妻は、差 押債権者に対して登記の優先権を主張でき、妻が将来贈与を受けて本登記を行おうとする場合は、差押債権者はその本登記を認めざるを得ない(すなわち、差押 が強制的に抹消されることを認めざるを得ない)という結果になる。

○債権者詐害行為による取り消し 
ただし、贈与予約による仮登記という行為が明らかに他の債権者の権利を妨げることを目的として行ったものであると認められるような場合、つまり、差押の直前に仮登記をした場合などには、「債権者詐害行為」として贈与予約行為が取り消されることもあるので注意を要する。

※回答者

司法書士 北川哲男

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