遺言特集【遺言にはどんな方法があるか】
相談内容私も古稀を過ぎましたのでそろそろ遺言の用意をしたいと考えております。遺言するにはどんな方法があるのでしょうか。
解答遺言には、普通の方式として自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類があります。自筆証書遺言は、遺言の全文、遺言をした日付、氏名を自筆 し、これに押印することでする遺言です。公正証書遺言は、証人の立会いの下、公証人に遺言の趣旨を告げて筆記してもらい、正確であることを遺言者と証人が 確認して署名押印することで作成する遺言です。秘密証書遺言は、遺言者が証書に署名押印してこれを封じ、証書に用いた印章で封印し、公証人及び証人の前に 封書を提出して事故の遺言書であること及び氏名住所を申述し、公証人が証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人と共に署名 押印することで作成する遺言です。この他に、病気等で死期が迫っている場合、遭難した船に乗っていた場合、伝染病のために隔離されている場合は特別の方式 で遺言をすることができます。いずれの遺言も、法律に定められた形式に沿ってしなければなりません。形式を誤ってしまうと、遺言は法律上無効になります。
自筆証書遺言は、遺言者が単独で作成することができ、費用がかからない簡単な方法の遺言といえます。一方で、専門家のサポートを受けずに作成する場合 は、形式を誤らないよう特に注意が必要となります。遺言書の管理が不十分だと、紛失等によりトラブルの原因にもなります。公正証書遺言は、その作成に専門 家が関与するので、形式の不備や遺言書の紛失を避けることができる安全な方法といえます。その反面、遺言をするのに費用と手間がかかってしまうことになり ます。また、遺言の内容を誰にも知られたくない場合には不向きです。秘密証書遺言は、遺言書の存在が明確になるというメリットがありますが、公証人は書面 そのものの作成には関与しないので、形式を誤らないよう注意する必要性は残ります。自筆証書遺言と同じく、遺言書は自ら管理しなければなりません。
弁護士 田中 善助