相続特集【代償分割の活用について】
相談内容自分が居住する住宅の敷地が父名義であるところ、父が亡くなったので、敷地を自分のために相続したいが、弟が相続分を主張して同意してくれない。どのように手続を進めたらよいか。
解答事例のような場合は、遺産分割を求める調停を申し立てることになるが、遺産分割を進める手段として、敷地の全部を自分が相続する代わりに、弟さんに相続分相当の金銭を支払う(これを「代償分割」という。)方法があることを念頭に置くと良い。
遺産分割の方法は、現物分割・換価分割・代償分割の3つがあります。その中で代償分割が行われるのは、自宅・農地・その他事業用地などの不動産や自社株 が主な遺産である場合です。これらの財産を分割してしまうと、後々の不都合が生じるからです。なお、相続税がかかるような事例で代償分割を行った場合、相 続税のことを懸念する向きもありますが、遺産額が増える訳ではないため、相続税の総額は他の分割方法と変わりません。また、各人の相続税の負担も、誰かの 負担が重くなることはありません。
司法書士 北川 哲男