相続人全員が相続放棄したら
相談内容 ≪相続人全員が親の財産を相続したくないと考えているが、全員が相続放棄した場合は、どうなるか。≫
父親が亡くなったが、遺産は山間部の不動産のみで、兄弟全員が相続したくないと言っている。兄弟全員が相続放棄をした場合は、どうなるのか。
相続人全員が相続放棄をすると、相続人不在となり、相続財産は所定の手続きを経て最終的には国庫に帰属するとされている。(民法959条) ただし、本 例では、仮に子のみが相続人であるとすると、子全員が相続放棄すると、父の両親に相続権が及び、その両親が既に死亡している場合は、父の兄弟に相続権が及 ぶこととなり、いきなり国庫に帰属するということにはならないので注意を要する。田舎の不動産は、財産価値が低く、不動産の維持に義務感が多く残るため、 このような相談事例が多く見られるようになった。祖先より何代にも亘り継承され、親が守り続けてきた財産は、今や「権利」でななく、「義務」として時代の 波に消されようとしている。親の残した財産は、子全員が共同して維持していくものではないだろうか。
※回答者司法書士 北川 哲男