遺産相続をスムーズに進めるには!!②
相談内容父が亡くなり、遺産としては自宅の土地建物がありますが、その他にはこれといった遺産はありません。その自宅には母親が住んでおります。相続人は、母親、 姉、私の3人です。私は生活に困っておりませんので、姉には少し財産を分けてあげようと思っています。どの様にしたらよいでしょう。
解答家事審判規定109条は「家庭裁判所は、特別の事由があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人に対し債務を負担させて、現物をもってする 分割に代えることが出来る」と規定しています。これを代償分割といいますが、この代償分割の方法は、家庭裁判所における手続きに限定されるわけではなく、 相続人同士の遺産分割協議においても活用することが出来ます。質問の場合、母親が自宅を相続し、その代わり姉に対し一定額の金額を支払うという方法です。 この金額については協議のうえ自由に決めることが出来ます。
遺産分割の方法は、次の3つがあります。
【遺産分割の方法】
■現物分割
一つ一つの財産ごとに取得者を決める最も一般的な遺産分割の方法です。例えば、「A土地・建物が長男、B土地が次男。C銀行の預金2億円が長男、D銀行の預金1,5億円が次男」といったように。
■換価分割
遺産をすべて換金し、相続人に金銭で分配する方法です。例えば、「金銭以外の財産をすべて売却して、遺産のすべてを金銭に換えます。その金銭を長男と次男で半分ずつ相続する」といった方法です。
■代償分割
特定の相続人が財産を相続する代わりに、他の相続人に金銭などを与える方法です。例えば、「長男がすべての遺産(5億円)を相続し、その代わりに長男が次男に代償金(1億円)を支払う」といったように。
※代償分割はどんな場合に行われるのか?
代償分割が行われるのは、自宅・農地・その他事業用地などの不動産や自社株が主な遺産である場合です。これらの財産を分割してしまうと、後々の不都合が生じるからです。
弁護士 田中 善助