給与ファクタリング業者からお金を借りたが…
相談内容先日、どうしても10万円が必要だったのですが、給料日がまだ15日先で、
手元のお金では足りなかったので、怪しげなインターネットサイトに出てきた
「給与ファクタリング」を謳う業者に手数料の3万円を支払って10万円を
手に入れました。サイトに出ていた説明では、債権譲渡と書いてありました。
今日、給与が支給されたので返済しましたが、他に何か問題は起きませんか。
解答ファクタリングとは、本来は、企業が取引先に対して持つ売掛金債権を買い取る
サービスのことで、手数料はかかりますが、売掛金の支払期日よりも早く現金を
手にすることができるということで、資金繰りの手法として用いられることが
ありました。
給与ファクタリングは、企業の売掛金ではなく、個人の給与を対象として行う
ファクタリングサービスのことですが、近時、この給与ファクタリングで、業者が
勤務先に取立をしてトラブルが生じたり、違法ファクタリング業者が貸金業法や
出資法違反で警察に摘発されたりする事例が相次いでいます。
金融庁は、給与ファクタリングを業として行うには貸金業登録が必要との見解を
示していますので、適法な給与ファクタリング業者には、貸金業登録番号が付与
されているはずです。
また、この給与ファクタリングは債権譲渡ではなく、貸金という扱いを受けます
ので、手数料の金額が利息制限法や出資法の制限を遵守していなければなりません。
貸金業登録がなされておらず、高額な手数料を請求している業者は違法業者であり、
ヤミ金と同じですから、絶対に取引をしてはいけません。
かつてのヤミ金業者が給与ファクタリングの名を借りて活動していることも多い
ようです。
ご相談の事例では、次の給与支給日までの15日間で10万円の30%に相当する
3万円の手数料が取られていますので、明らかに手数料が高額に過ぎ、違法業者から
ファクタリングサービスを受けたといってよいでしょう。
既に、返済済みということであれば、業者から何らかの請求がなされることはないと
思いますが(利息過払金の返還等は別途問題にはなり得ます)、今後二度と関わりを
持たないようにした方がよいです。
※回答者
弁護士 柳澤修嗣(2022.3)