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マルチ高年齢被保険者の資格喪失について

相談内容

複数の事業所に勤務している65歳以上の労働者が、1つの事業所の労働時間が

20時間未満でも雇用保険に加入することができるマルチ高年齢被保険者に

ついては、以前のこのコーナーの回答でよくわかりました。

そこで、マルチ高年齢被保険者が資格を喪失する場合について教えてください。

解答

マルチ高年齢被保険者の加入条件です。

1.65歳以上の労働者が複数事業所に勤務している

2.2つの事業所の週所定労働時間合計が20時間以上

 (1つの事業所の週所定労働時間が5時間以上20時間未満に限る)

3.2つの事業所それぞれで31日以上の雇用見込みがある

以上のすべてを満たす場合に、65歳以上の高年齢者がハローワークに申し出ることに

より、マルチ高年齢被保険者として雇用保険の二重加入が可能になったものです。

マルチ高年齢被保険者の資格取得は強制ではありませんが、取得後、任意での資格喪失

はできません。

資格喪失する場合は次の5つに限定されます。

 ① どちらか一方、または両方の事業所を離職

加入条件2の要件を満たさなくなるため、離職した事業所だけでなくもう一つの事業所も

同時に資格喪失します。高年齢者給付金を受けるには、離職した事業所の離職票の作成が

必要です。

なお、まだ他に勤務している第3の事業所がある場合、離職していない事業所と併せて加入

条件を満たすときは、改めてマルチ高齢被保険者の資格取得をする必要があります。

 ② 1事業所だけで週所定労働時間が20時間以上 

 マルチ高年齢被保険者の資格を喪失し、通常の雇用保険被保険者として資格取得します。 

 ③ 2事業所のうち、どちらかの事業所で週所定労働時間が5時間未満

 ④ 2事業所の合計週所定労働時間が20時間未満

        ③④とも加入条件2の要件を満たさなくなるため、2事業所とも資格喪失します。

 ⑤ 死亡、行方不明

        やむを得ない場合、事業主が資格喪失手続きを行います。

 

以上のどれかに該当したら、⑤以外は取得時と同じで65歳以上の高齢者が事業主の協力を得て

ハローワークに申し出ます。

ところで、複数事業所勤務については、そもそも事業所で兼業・副業を禁止していることも多く、

就業規則に違反するマルチ高年齢被保険者の資格取得に、事業主が協力しなければならないのかと

いう問題もあります。今後、就業規則の見直しも含め、マルチジョブホルダー制度を理解し対応し

ていくことが求められます。

 

※ワンポイント

資格喪失する場合は次の5つに限定される

 ① どちらか一方、または両方の事業所を離職

 ② 1事業所だけで週所定労働時間が20時間以上  

 ③ 2事業所のうち、どちらかの事業所で週所定労働時間が5時間未満

 ④ 2事業所の合計週所定労働時間が20時間未満

    ⑤ 死亡、行方不明

 

⑤以外は取得時と同じで65歳以上の高齢者が事業主の協力を得てハローワークに申し出る。

※回答者

特定社会保険労務士 山口正人(2022.5)

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