くらしなんでも相談Q&A

遺産相続をスムーズに進めるには!!①

相談内容

母はすでに死亡。現在86才の父が死亡した場合相続はどうなりますか。子供が2人います。

解答

父親が死亡した場合、その直系卑属である子供二人が相続人となります(民法887条1項)。父親が遺言をしていれば、遺言のとおり相続されます。しかし、 直系卑属及び直系尊属が相続人の場合は遺留分権者として一定の割合に相当する額が保障されており、遺言の内容によっては遺留分を侵害するということも起こ ります。その場合は、遺留分を侵害された相続人は減殺請求することができます(民法1028条、1031条)。この減殺請求権は、遺留分権者が、相続の開 始及び遺留分が侵害されたことを知ったときから1年間行使しないと時効によって消滅します。相続開始のときから10年を経過したときも同様です(民法 1042条)。遺言がない場合は、法定相続分(この場合相続人が二人ですから二分の一となります)に従って相続することになり、共同相続人間に遺産分割協 議が成立しない場合は家庭裁判所に調停又は審判の申立てをすることになります(民法907条2項、家事審判法9条、17条)。

※ワンポイント

【遺産相続がスムーズにいかないときの手続き~遺産分割調停・審判~】
一般的に遺産には、現金だけでなく不動産や株式、著作権などの様々なものがあります。これを相続人全員が、満足できるように分割するのは、大変難しいもの です。それぞれの相続人の家庭の事情や、亡くなった人との親密感などで、必ずしも話し合いがスムーズにいくとは限りません。遺産を分割する場合は、まず、 相続人全員の遺産分割協議によって、解決するのが原則となっています。ただ、1人でも協議に同意できない人がいるときは、家庭裁判所に「遺産分割調停申立 書」を提出して、調停で解決することになります。この調停というのは、家庭裁判所の調停委員が、相続人同士の意見や主張を聞きながら、うまく合意できるよ うに進める制度です。調停委員は、亡くなった人への貢献度、職業や年齢などを総合的に判断して、相続人各人が納得できるよう、話し合いを進めます。しか し、この調停でも話し合いの合意ができないときは、「遺産分割審判申立書」を提出して、家庭裁判所の審判で結論を出すことになります。審判では調停のとき のように、相続人同士の話し合いが行われることはなく、家庭裁判所が公平に判断して、審判を下すことになります。このとき、必要に応じて相続人や遺産の内 容についての、事実関係を調べたり相続人の主張の正当性を、確かめることも行われます。下された家庭裁判所の審判には、強制力があり合意できない場合も、 これに従わなければなりません。なお、遺産分割では、まず、最初に相続人同士で協議を行うのが前提で、もし、協議がまとまらないときに、いきなり家庭裁判 所の審判に持ち込むことはできません。必ず調停を申し立てて、その調停でも合意できないときだけ、審判に持ち込むことができます。身内のことはなるべく、 お互いの話し合いで解決するのを原則としています。

※回答者

弁護士 田中 善助

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