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亡父の相続放棄、叔母の相続はできるか?

相談内容

昨年、叔母(亡父の妹)が亡くなりました。叔母には夫や子どもはおらず、

両親も亡くなっているため、法定相続人は叔母の兄弟しかいません。

ところで、父は何年も前に亡くなっていますが、父には借金も多かったことから、

私は、父の相続を放棄していました。

この場合、私は、叔母の相続人となれるのでしょうか。

叔母は近くに住んでいたのでいろいろ面倒を見ていましたが遺言書はありません。

 

解答

今回の事例で、叔母さんには夫や子がおらず、相続人は、兄弟姉妹のみということに

なります(民法889条1項2号)。

結論として、叔母さんの相続人である、相談者の父(叔母さんの兄)は、叔母さんの相続が

開始する前に亡くなっていたことから、法律上、相談者が叔母を代襲相続(同889条2項・

887条2項)することができます。

代襲相続とは、相続人が相続開始以前にすでに死亡していたり、あるいは、相続欠格や排除に

よって相続人たる資格を失っているときに、その子が代わって相続をするという仕組みです。

でも、叔母が、父が生きているときに亡くなり、父が叔母からの相続を放棄した場合、相談者は、

叔母の代襲相続人にはなれません。

放棄は代襲相続の原因とはならないからです(同887条2項)。

そこで、相談者は、既に亡父の相続を放棄し、亡父の相続人ではないことから、叔母の代襲相続人とは

ならないのでは心配したのでしょう。

でもご安心ください。

亡父の相続と叔母の相続は別の相続問題であり、亡父の相続を放棄していたことは、叔母の代襲相続を

妨げる事情にはなりません。相続の放棄の効力を定めた民法でも、「相続の放棄をした者は、その相続に

関しては、初めから相続人にならなかったものとみなす」(同939条)としていることから、おわかり

いただけると思います。

 

※回答者

弁護士 柳澤修嗣(2023.3)

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