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減給制裁は給与の1割まで可能?

相談内容

このたび従業員が不祥事を起こしたため、労働基準法に従い月給額の10分の1を減給する

制裁処分を本人に通知し、今月の給与を減給して支払いました。

本当は数カ月に亘って減給したいところでしたが、少し厳しすぎると思い1ケ月のみとしました。

ところが、その後従業員からこれは法違反ではないかと言われてしまいました。

本当に法違反なのか、正しい減給制裁の方法について教えてください。

解答

ご質問のように、「賃金のカットは給与の1割までならいいのでは」と誤解されていることが

多いので、まずは労基法の条文を見てみましょう。

労働基準法第91条では、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、

その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の

総額の10分の1を超えてはならない」

と規定しています。(平均賃金=直近3ケ月の賃金総額÷3ケ月の歴日数計)

 

前段の「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」は、1回の制裁事案に対して

減給額が平均賃金の1日分の半額以内でなければならいという意味です。

不祥事1回の事案で1日分ずつ何日にもわたって減給できるわけではありません。

 

後段の「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」は、1賃金

支払期に発生した複数の事案に対する前段の減給額の合計が多額になっても、賃金総額の

10分の1を超えてはならないという意味です。

 

ご質問のように、いきなり月給額の10分の1を減給してしまったのは明らかな法違反であり、

まして数カ月にわたって減給制裁を行うなど、気持ちはわかりますが決してやってはいけない

ことです。

今回は1回の不祥事でしたから、平均賃金の1日分の半額以内で行うべきでした。(実際かなりの

少額です)

 

※回答者

特定社会保険労務士 山口正人(2023.5)

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