有給休暇取得日を人事考課対象としてもいい?
相談内容当社では、就業規則で年次有給休暇を取得するときには、1週間前までに所定の手続きに
より届け出るように定め、従業員に周知しています。
その上で、突然の体調不良等で欠勤した場合には、事後の届出によって有給への振替えも
認めています。ただし、事後に有給へ振替えた日は、人事考課の際には欠勤として評価する
こととしています。
このように、振替えによって有給休暇になった日を人事考課の評価対象とすることは、
法違反となるのでしょうか。
解答
労働基準法第136条では「使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を
取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取り扱いをしないようにしなければ
ならない」と規定しています。
これは、有給休暇の取得が、その後の賃金の減額や人事考課等の際に欠勤扱いとするなど
マイナス評価に影響するのを禁止することで、取得を阻害しないようにする意味を持ちます。
御社では、有給休暇の事前届け出を就業規則で規定しており、そのルールに従って取得した
有給休暇は、確かに法136条によって保護されるものであるといえます。
ただし、欠勤した日について事後に有給休暇へ振替えることを認めるかは、御社が定めた
独自のものであり、結果的に有給休暇となっても、欠勤であったことに変わりありません。
したがって、ご質問の有給振替えの日を人事考課上欠勤と扱うことについて、法136条に
違反するものではないといえます。
※回答者
特定社会保険労務士 山口正人(2023.5)