くらしなんでも相談Q&A

不当勧誘と契約の取消し

相談内容

私は19歳の大学2年生で一人暮らしをしています。今まで使っていたノートパソコンが

壊れてしまったので、新しいパソコンを買いに販売店に行きました。店員から商品の説明を

受けたのですが、想像していたよりも値段がかなり高く買うべきかどうか親に電話で相談し

ようとしました。

そうしたら、店員が「もう大人なんだから、自分だけで決めないとダメだ!」と強い

口調で言ってきたので、親に相談できないままそのパソコンを買ってしまいました。

後で実家に電話したところ、ちょうど実家でもパソコンを買い替えたらしく、古いのを

もらってもよかったし、新品を買うにしてももっと安いので十分だった気がします。

パソコンを買ったのを取り消せないでしょうか?

調べてみたら、何年か前に法律が変わって、18歳になると契約の取消しができなくなって

しまうと書いてあったので心配です。

 

解答

2022年4月1日に、成人になる年齢が20歳から18歳に引き下げられました。そのため、

18歳になると、「未成年者であること」を理由とした契約の取消しはできなくなります。

もっとも、契約を締結するいきさつに問題がある場合は、消費者契約法などの法律に基づいて

契約を取り消すことができます。

2023年の6月1日から、消費者契約法が改正され、契約を取り消せるパターンとして

以下のものが追加されました。

 

 〇勧誘することを告げずに消費者を退去困難な場所へ連れて行き、消費者が退去困難で

  あることを知りながら勧誘をした場合。

 〇消費者が消費者契約を締結するか相談を行うため、電話等によって第三者に連絡をした

  いと言ったが、事業者が威迫する言葉を交えて連絡を妨害して勧誘をした場合。

 〇正式に契約を締結する前に目的物の原状を変更し、元の状態に戻すことを著しく困難に

  して、契約を締結させた場合。

 

ご相談のケースでは、パソコンを買おうかどうか親に電話で相談しようとしたのに、店員が

強い口調で妨害したために相談をさせてもらえず、そのままパソコンを買ってしまったという

ことですから、上にあげた2つ目のパターンに当てはまり、契約を取り消すことができます。

 

この他に、消費者契約法に基づいて契約を取り消せるバターンとしては、

 〇重要な事柄についてうそを言われた場合

 〇消費者にとってメリットになることを言いながら、重要事項に関するデメリットを

  言わなかった場合

 〇「必ず値上がりする」など、不確かなはずの事柄について確実であるかのように

  言われた場合

 〇消費者にとって必要な量を大幅に超える商品を購入させた場合

 〇自宅に勧誘に来たセールスマンに帰ってほしいと告げたのに帰らなかった場合

 〇販売店から帰りたいと告げたのに帰らせてくれなかった場合

 〇社会経験の乏しい消費者の不安をあおる勧誘がされた場合

 〇社会経験の乏しい消費者に対し、勧誘する側も好意を抱いていると勘違いさせ、契約

  しなければ関係が破綻することを告げた場合(いわゆるデート商法)

 〇加齢や病気等で判断力が低下している消費者の不安をあおる勧誘がされた場合

 〇霊感等の特別な能力により、消費者やその親族の生命や財産等について、今のままでは

  現在又は将来の不利益が避けられないとの不安をあおり、又は不安に乗じて契約が必要

  と告げた場合(いわゆる霊感商法)

などがあります。

※回答者

弁護士 田中良平(2023.7)

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