葬儀費用の負担
相談内容母が亡くなり、長男である私が喪主として葬儀等を執り行いました。
相続人は私のほか弟と妹ですが遺産分割につき話し合いで解決できず、弟が遺産分割の
調停の申立をしました。弟も妹も3分の1の相続分を主張していますが、葬儀費用につい
ては遺産から支出してもらうことはできますか。
解答葬儀費用は、お母さんが亡くなった後の葬儀等にかかった費用であり、お母さんが生前から
有していた財産(遺産)ではないので、遺産を相続人間でどのように分けるかを協議する調停の
対象とはなりません。
しかし、ほかの相続人から遺産を公平に分けるよう求められると、それならば葬儀費用も公平に
分担してほしいとの思いから調停で問題にされることも少なくありません。
葬儀費用としてどこまで含めるのか、香典等で入金した金額は差引くべきか等の問題もありますが、
相続人間で合意が成立すれば遺産分割調停の場で解決できることもあります。
遺産分割について調停で解決できない場合は、裁判所が審判という形で遺産を分割しますが、
葬儀費用の負担については判断してもらえません。
葬儀費用の負担については別に訴訟等を考える必要があります。葬儀費用の負担については、
相続人全員で負担するとの考え、喪主が負担するとの考え、遺産から負担すべきとの考え等が
あり、具体的な事情により判断されています。葬儀費用の負担を考慮した生命保険受取人指定、
相続分指定等がない相談事例では、相続人全員で負担すべきとの判断も見込めます。
※回答者
弁護士 佐藤 豊(2023.9)