【生前贈与と相続、税制上の違いは?】
相談内容自分は2人姉妹の次女だが、姉が嫁ぎ、自分が実家の跡を継いだ。父は早くに亡くなり、母を含めて5人暮らし。昨年、姉が病気で亡くなった。
自宅は土地が母名義、建物は夫名義。母は自分は高齢(90歳)なので、今の内に面倒を見てもらっている婿(自分の夫)に名義を変えたいと言っている。
亡くなった姉には子供が2人いる。
生前贈与をした場合、税制上はどうなのか。
母親が死亡したとき、母親名義の土地を相続により取得すると相続税が課税されるが、母親が夫に生前贈与すると夫に贈与税が課税される。贈与税は相続税に比べ、一般的にはかなり高額になる。
母親が死亡したときに相続で処理すると相続税で済むが、母親と夫が養子縁組をしてないと夫は相続人にならず、夫が養子縁組をしても姉の子も相続人になるので、必ずしも土地を相続できるとは限らない。
夫が母親と死因贈与の契約をするか、母親が死亡したら夫に贈与するとの遺言をしておけば、土地は夫が取得でき税金は相続税で処理できる。
その場合でも姉の子には遺留分があるので、母親に土地以外の遺産がほとんどないときは、夫や自分たちの子が母親と養子縁組をしておくと、姉の子の遺留分を減らすことができる。
なお、65歳以上の者から20歳以上の直系卑属である推定相続人が贈与を受ける場合、贈与の課税につき、相続時の精算を前提にした概算前払いとして税負担の軽減・簡素化を図った相続時精算課税制度がある。
弁護士 佐藤 豊