任意後見契約
相談内容叔父(78才)は独身で、日常生活の世話は姪である私がしている。最近、叔父は財産のことを気にするようになってきた。
「任意後見契約」という言葉を聞いたが、どのようなものか。手続きはどのようにするのか。また、私が任意後見人になることはできるのか。
法定後見は、判断能力が既に失われたか又は不十分な状態になり、自分で後見人等を選ぶことが困難になった場合に利用され、任意後見は、まだ判断能力が正常である人、又は衰えたとしてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶ能力を持っている人が利用する制度。
相談者の叔父が十分な判断能力を有している場合は、任意後見制度を利用することにしてはどうか。
任意後見人は成人であれば原則として誰でもなれるので、相談者がなることもできる。
この制度を利用するには、任意後見契約を公正証書によって結ぶ必要があるので、「公証人役場」という所に叔父と相談者で出向いて作成する。
【任意後見契約】
成年後見制度(H12年4月制定)は、物事を判断する能力が十分でない方(本人)の権利を守る援助者(成年後見人等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度。
裁判所の手続により後見人等を選任してもらう「法定後見制度」と、当事者間の契約によって後見人を選ぶ「任意後見制度」がある。
任意後見制度は本人に判断能力のあるうちに、将来判断能力が不十分な状態になることに備え、公正証書を作成して任意契約を結び任意後見受任者を選んでおくもの。本人の判断能力が不十分になった時に、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から、その契約の効力が生じる。
任意後見人には成人であれば誰でもなれるが、法律がふさわしくないと定めている事由のある者(破産者、本人に対して訴訟を提起したことがある者、不正な行為・著しい不行跡のある者や金銭にルーズな人等)はなれない。
なお、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門家や法律・福祉に関する法人に依頼することもできる。
司法書士 北川哲男