夫の両親の相続。共有名義の自宅までもか
相談内容夫の両親と同居。5年前に義父が死亡し、義母(89歳)と、夫ら兄弟3人で相続した。
義母が、相続した有価証券等を義弟と義妹に贈与した。
住んでいる家の持分2分の1も義母名義だが、これも義弟妹に贈与されるかが心配。
夫の母が死亡した時、弟と妹だけが贈与を受けていれば、相続の時に生前贈与の分も考慮して遺産分割がなされる。
夫の母が全部の財産を贈与してしまった場合は、遺留分減殺請求が問題となる。
【遺留分減殺請求】
○遺留分とは、配偶者、子(又はその代襲相続人)、直系尊属である法定相続人の最低限度保証されている遺産に対する持分のこと。被相続人(亡くなった人)の兄弟姉妹には遺留分はない。
○遺留分が侵害されたとき(生前贈与・遺産遺贈・遺留分に反する遺言など)、自分の受け取る額が遺留分に達しないときは、受遺者や受贈者に遺留分減殺請求して不足分を取り戻すことができる。
○遺留分の帰属と割合
兄弟姉妹以外の相続人の遺留分は、①直系尊属のみが相続人である場合=被相続人の財産の3分の1、②それ以外の場合=被相続人財産の2分の1の割合相当額。
○遺留分減殺請求権の期間制限
遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間、相続開始の時から10年で時効消滅する。
○時効があるため、遺留分侵害者に対して遺留分減殺請求書は「内容証明郵便」で送るのが望ましい。
弁護士 佐藤 豊