父の相続、認知症の弟の相続はどうなるのか
相談内容今年の2月に父が亡くなった。母は既に7年前に亡くなっている。
自分は3人姉弟の長女であるが、弟たち(長男・次男)と3人で父の財産を相続しようと思っている。
しかし、次男は若年性の認知症と診断されているが、手続きはどのようにしたら良いか。
認知症になったり、知的障害や精神障害等のために判断能力がなくなったりすると、正しい判断ができず不利益を被ったりする場合がある。
そのため、その判断を補ってくれる援助者を付ける制度として成年後見制度がある。
次男が認知症で判断能力がない場合、成年後見制度を利用して、次男の代理権を持つ後見人を家庭裁判所に選任してもらうと良い。後見人が次男を代理して協議をする。
具体的には、医師の診断書や戸籍その他必要書類を付けて、次男の住所地の家庭裁判所に後見開始の審判申立をし、後見人の選任をしてもらう。
選任されると、財産管理権が付与され、次男の全ての法律行為について代理できるので、成年後見人と長女、長男で遺産分割の協議が出来る。
なお、成年後見人に同じ相続人である長女や長男が選任された場合、父の遺産分割協議をするには利益相反行為となるので、その場合には、次男のために家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをし、選任の上、特別代理人と長女と長男とで協議をする。
【成年後見制度】
成年後見制度(H12年4月制定)は、物事を判断する能力が十分でない方(本人)の権利を守る援助者(成年後見人等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度。
裁判所の手続により後見人等を選任してもらう「法定後見制度」と、当事者間の契約によって後見人を選ぶ「任意後見制度」がある。
司法書士 千野正嗣