母親の遺産相続。調停申立も不成立となったがどうしたら良いか。
相談内容母の相続人は私(長男)を含めて子供ら6人である。
相続争いで2年前に調停の申立をしたが、相手方(長女)が不出頭で不成立となった。
その後、相手方が遺言状を持っていることが判り、遺留分の請求を弁護士を通じて内容証明で通知した。
相手方は手強く、他の兄弟は争いから手を引き私の力にはなってもらえないので、近くで相談にのってくれる所を教えてほしい。
直接、相手方である長女との交渉が無理であれば、近くの弁護士に依頼をして相談にのってもらう。審判による分割でなされるのか、または長女の持っている遺言状の内容によって審判手続きが継続されないとすれば、遺留分減殺請求権に基づき訴訟することになる。
【調停と審判による分割】
○通常、調停は家事審判官1名と、調停委員2名以上の合議制で進められ、当事者間の話し合いにより解決をはかる。内容は相続人全員が合意で成立するもので あり、合意が成立しないときは、調停は不成立となる。調停が成立しない時、裁判所の判断によって分割方法を定めてくれるように申し立て、その審判に従って 分割することを審判分割という。
審判は、家庭裁判所がする一種の裁判のこと。
【遺留分減殺請求権】
○遺留分とは一部の相続人に最低限度保証されている一定な割合の遺産のことで、遺言があれば自由に財産を処分できるが、遺留分制度はこれに一定の制限をかけるもの。
○遺留分の権利者は法定相続人のうち、配偶者、子、孫、親、祖父母で、兄弟姉妹は認められていない。
○遺留分の請求 侵害された財産について「遺留分減殺請求」をしなければ財産は戻らない。
○遺留分減殺請求権の時効は相続の開始及び遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知ったときから1年(以後は時効により消滅)。
○遺言の有効性 遺留分制度はあるがそれを無視した遺言は有効。遺留分の権利を持つ相続人が遺留分減殺請求をすることで初めて効力が発生する。
○遺留分減殺請求書は「内容証明郵便」で送るのが望ましい。
司法書士 千野正嗣