離婚を考えているが、未成年の子と夫名義の自宅はどうなる?
相談内容私は、夫の不貞が原因で離婚したいと考えております。私には未成年の子がおり、また結婚後建築した夫名義の自宅があります。離婚に当たってはどのようなことに注意したらよいのでしょうか。
解答まず、未成年の子がいますので、親権者を決めなければなりません。また、未成年の子が成熟するまでの間、離婚後も親として協力して養育する義務があります ので、そのための費用(養育費)をどのように負担しあうか決める必要がありますし、子を引き取らなかった親は子と面接する権利がありますので面接について 協議することが必要です。
民法七六八条は「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対し財産の分与を請求することができる」と規定します。これが「財産分与」といわれるもので す。自宅は夫婦が婚姻中に双方の協力で取得した財産ですから夫婦の実質上の共有財産として財産分与の対象となります。自宅以外にも婚姻後に蓄えられた預貯 金はその名義に関わりなく婚姻後夫婦の協力によって取得された財産として財産分与の対象となります。この外に、財産分与の対象として貯蓄型の生命保険の解 約返戻金、将来の退職金、私的年金等も財産分与の対象となります。問題は財産分与の按分比率ですが二分の一とする例が多いと思います。財産分与について合 意ができない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。離婚後二年を経過すると財産分与の請求ができなくなりますので注意が必要です。
夫婦の共有財産がない場合でも、離婚により一方当事者が離婚後の生活に困窮しそうな場合、生活保障をするという意味の財産分与も認められます。これを扶養的財産分与といいます。
また、公的年金の分割制度が平成一九年四月から導入されました。これは財産分与制度そのものではありませんが、離婚を契機とした制度であり、離婚から二年を経過すると請求できなくなりますので注意が必要です。
質問者の場合、夫の不貞行為が原因ということですので夫に慰謝料請求ができます。なお、不貞の相手方に対しても不法行為を原因として慰謝料請求できます。
弁護士 田中 善助