離婚手続
相談内容私は夫とは性格が合わず離婚も考えておりますが、離婚手続としてはどんな手続があるのでしょうか。
解答 民法763条は「夫婦は、その協議で、離婚することができる」と規定し、合意によって離婚することを
認めています。これを「離婚協議」といいます。離婚に至る理由等は問題とされませんし、裁判所等の
公的機関も関与しません。最も簡単な方法であり、大多数の離婚がこの手続きによってなされています。
協議離婚するには、当事者が協議離婚届出書に署名捺印し、本籍地あるいは夫婦の所在地の市町村に
届け出ます。離婚届出書の用紙は、市町村役場の戸籍担当部署に用意されており、離婚は届出によって
成立します。
協議離婚による方法を取ることができない場合、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行うことになります
(調停前置主義)。管轄裁判所は原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
調停手続において当事者が離婚に同意すれば調停が成立し調書が作成されます。
この手続きを「調停離婚」といいます。離婚は調停が成立すると直ちに成立しますが、当事者は10日以内に届け出なければなりません。
調停離婚が成立しない場合、離婚を求める当事者は、家庭裁判所に離婚の訴えを提起することになります。この訴訟手続による離婚を「裁判離婚」といいま す。管轄裁判所は当事者の住所地を管轄する家庭裁判所です。相手方の意思に反しても離婚を認める手続ですから、離婚の訴えが認められるためには離婚原因が 必要となります。民法770条は離婚原因として①配偶者に不貞な行為があったとき、②配偶者から悪意で遺棄されたとき、③配偶者の生死が3年以上明らかで ないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときと規定しています。
離婚を求める当事者はこれらの離婚原因を主張し立証することが必要です。なお訴訟手続において離婚の合意が得られれば和解によって離婚することができま す。離婚を認める判決が確定し、あるいは和解が成立すると、離婚は成立し10日以内に届け出なければならないことは調停離婚と同じです。また、以前は有責 配偶者からの離婚の訴えは請求が棄却されていましたが、その後判例が変更され、今日においては事情によっては有責配偶者からの離婚請求も認められるように なりました。
弁護士 田中 善助