【慰謝料】 娘を騙していた相手に求める賠償
相談内容娘は17歳。高校を中退し、アルバイトをしている。
最近、31歳の男性と交際を始めたが、娘には独身と偽っていたのに、本当は妻帯者であった。
娘は妊娠して赤ちゃんができていたが、精神的にまいってしまい心療内科に通院している。中絶費用はその男性に支払わせた。
別れさせるため、刑事責任、民事責任を問いたいがどのようにしたら良いか。
一般的には刑事責任はむずかしい。児童福祉法は、「児童(18歳未満の男女)に淫行をさせる行為」を禁止し、違反行為には罰則もある。状況によってはこれに該当することがありうる。
民事責任も困難と思われ、妻帯者であることを知った後も交際を続けると、逆に相手の妻から慰藉料などを請求されることがありうる。
【青少年保護育成条例】
青少年(小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者(婚姻により成年に達したとみなされたものを除く))の健全育成を図るため、これを阻害する恐れの ある環境や行為から青少年を保護する目的で、住居地の市町村には「青少年保護育成条例」(各都道府県や市町村によって名称や内容は多少異なる)がある。
青少年との性交渉を禁止し罰則を設けている地域もあるが、例えば長野市の場合はそれに該当する条項はない。しかし、第5条(市民の責務)―2項では、「保 護者は、青少年を健全に育成することが本来の責務であることを深く自覚し、青少年を常に温かい環境の中で保護し、及び教育するよう努めなければならな い。」としている。
【不貞行為の慰藉料】
●浮気による精神的、肉体的苦痛に対する賠償として、相手の妻から慰謝料を請求される可能性がある。
額は、交際期間や年収によるが、示談になると50~200万円位が多い。
これは、自己の地位や相手方の弱点を利用するなど、悪質な手段を用いて相手方の意思を拘束したような場合でない限り、「不貞あるいは婚姻破綻についての主 たる責任は不貞を働いた配偶者にあり、不貞の相手方の責任は副次的なものとみるべきという考え」もあるため、配偶者に対する慰謝料より低額である。
●不法行為による損害賠償請求権の期間の制限
この損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは時効によって消滅する。
不法行為の時から20年を経過した時も、同様とする(民法第724条)と定められているため時効に注意を。
弁護士 佐藤 豊