【任意保険未加入の未成年加害者への賠償請求】
相談内容3ヶ月前、未成年(18歳)の運転手に信号待ちしている所を後ろから追突された。
家族4人がむち打ち症になり、子供達は完治したが、夫と自分はまだ通院中。
相手は任意保険に未加入だったので、被害者である自分たちの任意保険を使って治療している。
夫は仕事を休んでおり、休業補償を求めているが埒があかない。
未成年なので相手の親に休業補償分を求めたいが、裁判にかければお金はおりてくるか。
加害者が未成年者であっても、是非善悪を識別できる程度の年齢に達していれば、未成年者である加害者本人が責任を負い、その親の責任を追求することはできない。親自身に直接事故の責任が認められるような特別の事情がある場合を除き、親の責任を追及することは難しい。
但し、加害者が運転していた自動車の名義が親になっていた場合は、人身損害について、親にも責任が認められる可能性が大きい。
なお、任意保険未加入であっても、人身損害については、自賠責保険に請求できる。
【人身傷害補償保険】
〇「人身傷害補償保険」では、自動車事故で被保険者が死傷した場合に、事故の相手方である加害者が、賠償資力の無い場合(自動車保険未加入の場合など)で も、設定した保険金額を上限として、相手方との示談を待たずに損害額の全額を自身が加入の任意保険から受取ることができる。対象となるのは、契約内容によ るが、一般的に、自動車運転中のほか、他の自動車、或いは一定の乗り物(自転車・電車など)の搭乗中や歩行中の交通事故などが含まれる。
【無保険者傷害保険】
〇無保険者傷害保険は、交通事故で死亡・後遺障害を被った場合、本来なら事故の相手方に損害賠償請求ができるものが、相手方の自動車に対人賠償保険等の任 意保険契約がなく請求ができない場合、保険金が支払われる保険で、任意保険の対人賠償保険に加入すると自動的にセットされる補償。
この保険の被保険者となるのは、自動車保険の契約時に明記された記名被保険者のほか、その配偶者、同居の親族(下宿などの子供含む)等。また、被保険者の 父母が損害を被った場合も対象となるが、被保険者の重大な過失による事故や、無免許運転・酒酔い運転等での傷害などは、保険金は支払われない。
支払われる保険金は、法律上、事故の相手方が負うべき損害賠償額を基本に、自賠責保険や相手の対人賠償保険、相手方から支払われた損害賠償金などは差引かれる。
また、被保険者に過失がある場合には、過失部分については保険金が減額される。
なお、被保険者に支払われる見舞金や香典代などの臨時費用は、損害に応じて支払われる保険金とは別枠で受取れる。
〇無保険自動車の該当例
①対人賠償保険などの契約がない。②対人賠償保険はあるが無断運転や運転者の年齢条件不適合、家族限定などがあり保険金が支払われない。③対人賠償保険はあるが、保険金額が不足する。④当て逃げで相手が不明。
弁護士 佐藤 豊