活動報告

2007年11月08日

村井知事に平成19年度県政要請をする


2007年11月8日(木)、平成19年度県政要請が長野県庁知事室に於いて実施され、県労福協としてまとめた多重債務者対策、介護に関する対策、医師不足対策等8項目を要請した。今回も昨年と同様に知事懇談会と関係部局交渉の2段階形式をとり、会場を変えて行った。
 最初の知事懇談会は、県庁第三応接室に於いて行い、冒頭近藤理事長が、「県労福協は、“人と暮らし、環境に優しい福祉社会の実現”をスローガンに、構成 団体間の福祉活動の連携・調整をはかり、安心して生活できるネットワークづくりの実現を目指し活動している。今回、働く者の立場から、県民が安心して働け る環境整備、県民生活の安定、労働者福祉の前進のために県政への提言としてとりまとめたので、厳しい財政事情の中での有効な予算執行についてご苦労いただ くかと思うが、真摯に受け止めて対応願いたい。」と県労福協を代表して挨拶を行った。
  引き続き県労福協青木専務理事が、村井知事に対し、労働者の置かれている厳しい現状と社会環境の変化により生じている、多重債務対策、介護に関する対 策、医師不足対策等、早急に対応すべき深刻な課題が山積している現状と、今回の要請書の主旨説明を行うと共に、労働者福祉と安心・安全を基本とした県民生 活の向上に関する施策の充実が求められていると、就任後一年が経過した中で、知事として労働者福祉の現状認識と具体的な施策について考え方を伺った。
これに対し村井知事は、「知事として県民の負託を受け県政に取り組んでから早1年が経過した。その間、安全・安心な暮らしの確保、産業の活性化、計画的で 効率的な行財政運営の推進など、直面する多くの課題に真正面から取り組んできた。又、福祉をはじめとする県行政をとりまく現状としては、産科・小児科を中 心とした医師不足、高齢化社会到来による介護の問題、食品偽装問題を始めとする食の安全、ヤミ金融・振り込め詐欺などの悪質商法等の課題があると考えてお り、安全で安心して暮らせる環境を構築していく必要があると認識している。」 と回答された。
  知事懇談会の後の社会部長・関係各課交渉は会場を8階会議室に移して行った。県労福協近藤理事長のあいさつに続き、藤巻社会部長が「県労福協には長野 県の労働行政についてのお手伝いをしていただいており、あらためて敬意を表します。労働者福祉については重要な事項であり、真摯に受け止め、具体的には各 課ごとに検討いたします。」と述べ、続いて青木専務が要請内容①多重債務者対策の積極的な推進について②介護に関する対策について、③医療の安心・安全対 策について、④中小企業勤労者等の福祉の向上について、⑤食品の安全対策について、⑥消費者行政の充実強化について、⑦NPOへの支援について、記載に 沿って具体的に説明を行った後、要請事項に関して該当各部ごとの具体的回答・質疑にはいった。
なお、要請事項に対する回答は、正式には後日書面にて開示されるが、社会部・生活環境部・衛生部ほか複数の部局に関わる事項になっているので、各部局が連携して対応することがその場で確認された。
  このような県労福協による県政要請は、従来から実施されてきたが、一昨年までは社会部等の部課長折衝が中心で、昨年から県知事と直に懇談できるようになり、労働者福祉行政前進のために強くアピールすることができた。
 また、労福協としても、悪質な訪問販売を防ぐために、「訪問販売お断りシール」を作成し配付しているが、お年よりや民生委員の方々から、非常に評判も良いので、県としても、消費者行政の中で、このようなシール取組みの検討を要請した。
 これに対し村井知事は、県労福協のくらし・なんでも相談や悪質な訪問販売の防止の取り組みに理解を示した。
知事及び関係各部課との内容は以下の通り。

 

1 労働者福祉の積極的な推進について
労働者の置かれている厳しい現状と社会環境の変化により、多重債務対策、介護に関する対策、医師不足対策等、早急に対応すべき深刻な課題が山積しており、労働者福祉と安心・安全を基本とした県民生活の向上に関する施策の充実が求められています。
知事として一年が経過した中で、労働者福祉の現状認識と具体的な施策をお聞かせいただきたい。
○ 昨年9月から県政に取り組んでから早1年、その間、安全・安心な暮らしの確保、産業の活性化、計画的で効率的な行財政運営の推進など、直面する多くの課題に真正面から取り組んでいる。
○ 産科・小児科を中心とした医師不足、高齢化社会到来による介護の問題、食品偽装問題を始めとする食の安全、ヤミ金融・振り込め詐欺などの悪質商法などの課題があると考えており、安全で安心して暮らせる環境を構築していく必要があると認識している。
○ 労働環境は、経済のグローバル化や企業間競争が激化している中、就業形態の多様化が一層進展し、パートタイム労働者やアルバイトなど、非正規雇用の労働者が増加している状況にある中で、若年労働者を中心としました正規雇用への移行などが課題である。
〇 若年失業者やフリーター、ニート等の就職支援についても、ジョブカフェ信州において取り組んでおり、平成18年度においては、ジョブカフェ信州を利用して就職した若者1,017人のうち、98.2%に当たる999人を常用雇用に結びついた。

 

2 消費者行政の充実強化について
 消費生活条例(仮称)は全国の都道府県で最後の制定であり、最も実効性 のある条例となるよう内容の充実をはかられたい。
○ 消費者施策の総合的な対策を目的とした消費生活条例(仮称)の制定に向けた検討を行っているところであり、長野県消費生活条例(仮称)検討委員会での 議論やパブリックコメントの実施で、県民の御意見を十分聴きながら実効性のある条例となるように規定内容を検討していきたい。

 

3 多重債務者対策の積極的な推進について
長野県では全国に先駆けて「長野県多重債務者対策協議会」を立ち上げて、25の団体、機関と連携し対策に乗り出しましたが、形だけではなく、実質的に有効なものとするための施策を講じられたい。

○ 長野県多重債務者対策協議会には、労働者福祉協議会にもメンバーとして参加いただいており、被害者の会や法律専門家の団体もメンバーとして参加しているので、引き続き各団体等からの御意見をいただきながら、多重債務者対策の円滑かつ効果的な推進を図ってまいりたい。

 

4 介護に関する対策について
介護従事者の人材の不足・離反の現状を把握され、労働環境・待遇の改善が可能な制度に向けて働きかけをされたい。

○「福祉人材の確保等に関する実態調査」(平成19年5月)では、「確保が困難」とする事業所が86.9%を占め、特別養護老人ホームと訪問介護サービス事業所では9割を超えている。
○ 介護サービスを担う優れた人材を確保し、職場における定着を図るために、適切な給与水準に配慮して介護報酬を引き上げるよう、10月22日に厚生労働事務次官に対して要望を行った。今後も、機会を捉えて、同様な要請を行っていく。

 

5 医療の安心・安全対策について
医師不足改善のための緊急対策のさらなる強化と医師の過酷な労働実態を改善するなど、医師の確保に有効な対策を講じられたい。
○ 医師の確保に向け、これまでも国に対しての要請をはじめ、首都圏の大学等に対する医師派遣の協力要請や、県人会、高校同窓会に対する協力依頼のほか、 ドクターバンクの設置、医師研究資金の貸与、臨床研修病院が行う研修医の確保に向けた取組等への支援、女性医師への就業支援対策などに取り組んでおり、今 後もあらゆる手を尽くして、一人でも多くの医師を確保できるように取り組んでまいりたい。
○ なお、病院勤務医の待遇改善に向け、本年10月に、厚生労働省に対し、診療報酬の充実や、勤務医が働きやすい職場環境の整備促進を要望したところである。

 

6 食品の安全対策について
①輸入食品の添加物や残留農薬に対して高まる消費者の不安を解消するために、国に対して検査の一層の充実を求めるとともに、県が食品監視指導計画に基づいて現在行っている県独自の輸入食品に対する監視指導をさらに強化願いたい。
○ 「食品の安全確保対策事業」の一環として、県内に流通する輸入食品に対して安全性を確認するための検査を実施しているが、引き続き、検疫所における輸入食品の食品衛生法不適格事例等を参考にしながら、県内に流通する輸入食品の監視・検査を実施していく。

○国に対しては、引き続き、輸入食品の監視体制の充実強化を要望していく

 

②20ヵ月齢以下の牛をBSE検査対象から除外することについて、長野県においては引き続き全頭検査を実施することを要望すること。
○20ヵ月齢以下の牛のBSE検査への対応については、県民の安全性に対する理解の浸透状況を見ながら慎重に判断していく。
 

③近年のノロウイルスによる食中毒の発生状況などから、食中毒を予防するための監視指導を行うための保健所の食品監視員の増員をはかられたい。
〇食中毒の予防や食品の安全確保のために長野県食品衛生監視指導計画に基づき食品衛生監視員により監視・指導を行っている。
現状では保健所の食品衛生監視員の増員は困難ですが、引き続き業務の効率化をはかり、適切な監視・指導に努めている。

 

④土産品の製造者、販売者に対して、品質管理や適正表示を徹底するよう指導と検査を強化されたい。
〇食中毒の予防や食品等の衛生的製造及び販売などの安全確保のために長野県食品衛生監視指導計画に基づき、食品衛生監視員により監視・指導及び検査機関により食品検査を行っている。

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